うわさの力
職場の部署で唯一の女性だった佐々木さんはうわさ好きで知られていた。彼女の最新のターゲットは、同じ部署に中途入社してきた田中さんだった。佐々木さんは田中さんが「彼女は仕事ができなくて、尻拭いをしているのは私」「前の職場をトラブルでやめた」「色々な人に色目を使っている」という根も葉もないうわさを流し始めた。
田中さんはうわさを聞いても、決して動じずに仕事に集中した。
そして、重要なプロジェクトのプレゼンテーションの日が来た。田中さんは堂々とプレゼンを行い、会場は驚きに包まれた。彼女の提案が採用され、大きな成果を挙げたのだ。
プレゼン終了後、田中さんがマイクを取り、佐々木さんを見つめながら、「私についてのうわさを聞きました。ですが、私は言葉ではなく、行動で示します」と宣言した。
この言葉に、会場からは拍手が沸き起こった。佐々木さんは赤面し、席を立とうとしたが、田中さんがさらに続けた。「実は、今回のプロジェクトの”周囲からの評価と実際の評価の差を可視化する”というアイデアは、佐々木さんの批判からヒントを得たものです。ですから、佐々木さんにも感謝したいです」と。
この発言に、佐々木さんは言葉を失い、その場の全員が彼女を見つめ、いたたまれない顔でその場から立ち去った。佐々木さんは、その日を境に職場で周囲から冷たい目で見られるようになり、そそくさと別の会社に転職していった。
終わり